日本からの便り≪十一月十九日≫ 夕方から小雨。 日本から、手紙が二通届いた。 一通は千葉の叔母さんから、そしてもう一通が、元の会社の先輩加賀谷氏からの手紙だった。 「ギリシャからの手紙、十一月九日に着きました。 手紙からの感じだと、とても元気そうで安心しました。 東南アジアのどこかの国で、殺されでもしないか、心配しておりましたが、 無事一応の目的は達した様子、今頃は君自身の行動・危険はむしろこれから 健康にだけはくれぐれも注意してください。 君の事は全部、小石君をはじめ、みんなに報告して居ります。 皆も君の事をとても心配しているよ。 いつの日かまた、仲間で仕事が出来る日を私は願っています。 君ともまた、仕事を通じて、友情を深めていきたいと思います。 とにかく君は今、異国の地でしようとしている事、また現にしている事を 存分にして、自分が地球人であることを肌で感じてきてください。 そして、日本人である事も。 それは、どんなに買いたくてもお金では手に入れることの出来ない、 君自身の生涯の宝なのです。 今のその時間も場所も、もう戻す事ができない貴重なものです。 君ならきっと、その限られた時間を有効に使っている事と思います。 帰国すれば、日本での時間は馬に食わすほどあります。 日本のことなど気にしないで、その国、その国で、その国の人間になりきって、 我々の分まで、いろんなことを経験してきてください。 それではまた。」 住所:To International Student House 75、Omareos Street Areapagrati,506T、T、 Athens,Greese K,Inui ジャンル別一覧
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